フィナステリドの作用機序

そもそも男性の薄毛の原因には様々なものが考えられますが、毛穴が皮脂や汚れなどで毛詰まりを起こすなどの頭皮環境の悪化をはじめ、仕事や人間関係による疲れやストレス、睡眠不足、脂っこいものばかりの食生活、ニコチンやアルコールの多量摂取などが挙げられ、他にもAGAという病気の発症によって徐々に頭髪が抜け落ちていったり、明らかに地肌が見えるほどの薄毛に至ってしまうこともしばしばです。

 
このAGAとは男性型脱毛症という病名の略称であり、主に男性ホルモンが活発化することで頭髪の成長を妨げる物質が分泌されてしまい、この一連の作用によって薄毛が悪化するものと言われていますが、もしもこの病気を発症していることが疑われ本格的に医療機関で治療する意志があるのであれば、発症に至る詳しいメカニズムをきちんと把握した上で医師の治療に臨むのが効果的と言えるでしょう。

 

 

それでは、このAGAが発症する流れを詳しく見ていくにあたってまず最初に注目したいのはテストステロンと呼ばれる物質で、男性ホルモンの一種であるこの物質は主に睾丸や副腎などで生成されることが多く、思春期における身体の発育をもたらす原動力となったり、筋肉や骨格を増強するにあたっても大きな作用を及ぼすことになりますが、このテストステロンが単体だと頭髪にとって何も悪い影響はもたらさないものの、これが頭皮のあたりにまで波及してくると頭髪の成長や発毛に重要な役割を果たす毛乳頭が持つ5αリダクターゼという酵素と反応しあって、その結果としてDHTというさらに強力な男性ホルモンへと代謝されることになります。

 

 

DHTはこの後、毛乳頭が持つアンドロゲン受容体に作用を及ぼすと、毛乳頭が作り出す指令因子を調節するようになり、これによって男性ホルモンの影響を受けやすいとされる額の両サイドや頭頂部といった部分を中心に頭髪の軟化がはじまり、それがやがてヘアサイクルの乱れへと繋がっていき、髪が細胞分裂によってどんどん伸びていく成長期、成長が鈍化しはじめる退行期、それに細胞分裂が完全にストップして毛髪が抜け落ちるのを待つだけの状態となる休止期という流れを通常よりも速く経験して、普段なら5、6年は成長期が続くはずの健康的な毛髪があっという間に抜け落ちてしまう事態を迎えます。
こういったAGA症状の流れを改善する上では病院での専門治療を受けるのが一番です。医師はまず触診や問診によって患者の薄毛がAGA由来のものであるかどうかをこまめにチェックしていきますが、それがAGAを原因としたものである可能性が確認できれば主に飲み薬の処方による治療法を実施することになり、そこで用いられるのがフィナステリドと呼ばれる成分です。
フィナステリドが薄毛解消のためにどのような役割を果たすかというと、まずこの成分を含んだ飲み薬を一日一錠服用すると、テストステロンと結合してDHTを作り出す5αリダクターゼ2型の働きを抑えることが可能となり、こうした作用によってDHTの分泌量を抑制することができて、これまで頭髪の成長を阻害してきた物質が減少していくことによって抜け毛を助長する動きが止まり、その後は個人差はあるものの、少しずつ毛母細胞における細胞分裂が再び加速化されていき毛が成長期を迎えて、失われていた頭髪が再び取り戻されていくことになります。早い人であればフィナステリドを服用し始めて数週間くらいで頭髪の軟化が改善されてきたような実感を持つ場合もありますし、遅い人でも半年から一年くらい服用を続けると少なからず発毛を実感できることでしょう。
ただしフィナステリドを服用するにあたっては、薬を飲み続けるにあたって男性ホルモンを抑えることによって性欲が減退したり、勃起不全が起こるなどの症状が出る場合があるので注意しておいた方がよいでしょう。さらに服用し始めてある程度の発毛効果が実感できたとしても、医師が服用をやめて良いと言うまでは飲み続けなければなりません。というのも、途中で服用をやめるとこれまで薬の影響で発毛していた髪が一気に抜け落ちてしまい、再び最初の状態へと逆戻りしてしまうケースも少なからずあるからです。

 

 

こうして見てきたように、医療機関におけるAGA治療にはフィナステリドを含む飲み薬の処方が欠かせないわけですが、医師の指導のもとで治療を受けるにあたる上では、テストステロンと5αリダクターゼがDHTを作り出してヘアサイクルを大きく乱していくという一連のAGAの流れをきちんと理解しておくことが、この病気を意欲的に改善していくにあたっての大きな基礎となることは言うまでもありません。こうして努力を続けていった果てに薄毛の解消、そして発毛という結果が待っていることでしょう。

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