フィナステリドの副作用について

男性型脱毛症はAGA(Androgenetic Alopecia)とも呼ばれており、額の生え際や頭頂部の髪がどちらか一方、または双方から薄くなっていくタイプの薄毛のことで、男性の薄毛の殆どがこの男性型脱毛症だと言われており、直接的な原因としては、ひげや筋肉、生殖器の成長や形成にかかわる男性ホルモンであるテストステロンが前頭部や頭頂部で5αリダクターゼという酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変わってしまい、これが頭髪のヘアサイクルの成長期を短くしてしまうことだとされています。ヘアサイクルの成長期が短くなると髪の毛が長く太く成長する期間がごく短くなってしまい十分に育たない細く短い髪の毛がすぐに抜けてしまう、という症状をもたらすのです。これを改善するのがフィナステリドという成分ですが、どれくらい効果があり、またどのような副作用があるのでしょうか? フィナステリドの働きや、この成分を主成分とするプロペシアを例にとって解説していきましょう。

 

 

フィナステリドはテストステロンをDHTに変えてしまう5αリダクターゼを阻害し、薄毛・脱毛をもたらすDHTが生成されるのを防いで増毛・育毛する効果をもたらす薬用成分で、日本ではプロペシアという商品名で販売されていますが、もともとは前立腺肥大の治療薬であるプロスカーという薬の有効成分で、プロスカーを服用した人に薄毛の改善が見られたことから開発が始まりました。

 
国内の臨床試験では、プロペシア1mgを一日一回服用することで一年間で58%、二年間で68%、三年間で78%の改善効果が認められており、加えて、一年間の投与で40%、二年間で31%、三年間で20%の現状維持効果が認められており、改善効果と維持効果を合算すると、98%以上の人がプロペシアの効果を実感しています。効果が出始めるまでの期間は三カ月から一か月ほどと個人差が大きく、抜け毛や脱毛の程度が軽度であるほど早く、重度であるほど遅く効果が表れる傾向があります。
プロペシアの副作用には勃起不全や精力減退、精子の減少、胃部不快感、乳房のふくらみなどがあるとされていますが、性機能の低下については様々なデータがあり、多くの議論があります。
まず、5αリダクターゼを阻害するだけで直接テストステロンを減らすわけではないため、理論上は乳房のふくらみや性機能の低下が起きるということはなく、実際にアメリカで行われた臨床試験では二つの被験者のグループにプロペシア1mgと、偽薬であるプラセボが各々投与し、副作用を調べたところ、性欲減退はプロペシアで1.8%、プラセボで1.3%であり、勃起機能の低下はプロペシアで1.3%、プラセボで0.7%でした。有効成分の入っていないプラセボでも性欲減退や勃起機能の低下を訴えた人がいたことに加えて、もともと性機能はEDに見られるようにストレスによっても低下することがよくあり、メンタルの影響を大いに受けるという側面があることから言って、プロペシアによる性機能の低下は「男性ホルモンのはたらきを抑える薬だから性機能が低下するだろう」という思い込みによるプラセボ効果によるものが大きいとも考えられます。
一方で、前述の前立腺肥大治療薬のプロスカーはプロペシアの五倍の5mgのフィナステリドが含まれていますが、6%~19%とプロペシアよりも多くの割合の人に勃起機能障害や乳房が膨らんで女性化するといった副作用が出ているというデータがあり、プロペシアよりも高用量のプロスカーでは明らかに男性ホルモンに関わる症状が出ていることから、理論上はテストステロンを減らすことはないとしても、因果関係が無いとは断言できませんが、それでもプロペシアは1mgと非常に低用量であり、副作用が出る可能性は非常に低いと結論付けることができるでしょう。

 

薄毛や脱毛など、男性型脱毛症で悩む男性のほとんどはプロペシアによる治療を受けています。プロペシアは優秀なAGA治療薬であり、非常に多くの人がこの薬のおかげでAGAを克服していますが、一方で男性ホルモンに関わる性欲減退や勃起機能障害など性生活や家族計画などの妨げになりかねない性機能低下の症状が出ることも全くないとは言えないため、男性型脱毛症を治療するときはAGA専門病院の銀クリなどに足を運び、医師ときちんと相談し、性機能低下などが出てしまった場合はそれにちゃんと対処するなどして前向きに治療していくことが重要です。

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