米メルク社製フィナステリドとは

薄毛というのは古今東西問わず男性の大きな悩みのひとつであり、最近では男性型脱毛症という病名も付けられ、薄毛対策はれっきとした治療の一環と認識されるようになってきています。

 

 

この男性型脱毛症の治療に最も多く使用され、その効果の高さから人気を博しているのが、米メルク社が開発したフィナステリドという治療薬です。

 

 

もともとは前立腺肥大の治療薬として認可されていましたが、これを服用している人々に毛髪の成長や薄毛の改善傾向が見られたため本格的な研究開発につながって治療薬として認可され、現在では世界60か国以上で承認され、日本でも1年間の臨床試験をクリアしたのち2005年より広く取り扱われています。

 

 

男性型脱毛症の原因と考えられているのが、男性なら誰でも持っているジヒドロテストステロンと呼ばれる酵素であり、これが皮脂腺に過剰な皮脂を分泌させ、毛穴を塞いで毛髪の健康な発育を阻害することで不衛生な状態となった毛穴から毛髪が抜け落ちやすくなり、新しい細胞が成長することもできなくなり、これによって徐々に頭の髪の毛が抜け落ちていき、薄毛となってしまうのです。

 

 

フィナステリドは、このジヒドロテストステロンの生成を阻害することによって皮脂の分泌が抑え、毛髪の健康な成長サイクルを維持することで薄毛を改善させることができます。
米メルク社の研究結果によると、フィナステリドを使用した患者のうち98%の人に3年間にわたって効果が認められており、もともとは毛髪の減少を抑えることに効果が期待されていましたが、抑えられるだけでなく髪が増えてくる人も多く、臨床試験では半年で 48%、1年で58%、2年では68%、3年で78%の人が髪が増えたと報告があり、さらに単に量が増えるだけでなく、長さや太さと言った質の向上も認められています。

 

 

含まれる成分の量も低容量であるため副作用の報告もほとんどなく、国内臨床試験では胃のむかつきや性欲減退などが約6%の患者で認められたが、この副作用の発現頻度は成分が含まれていない偽薬を用いて行った実験でも同程度報告されているため、副作用として危険視する必要はさほどなく、性欲減退の副作用を気にする人も多いのですが、性欲をコントロールしているホルモンを減少させる薬ではないため、こういった副作用はそもそも起こり得ず本人の思い込みや気のせいであるとされています。

 

 

服用方法としては、0.2mg もしくは1mgの錠剤を1日1錠内服となっており、個人個人の症状や体格によって適正量は代えられますが、最高でも1日1mgまでであり、服用する時間は特に決まっておらず、食前食後関係なく自由に決めることができます。
また、この薬は男性型脱毛症の治療を目的としたものですから、服用は成人の男性に限られており女性や未成年の男性も服用することはでず、さらにこの薬を服用中の人は献血することが出来ません。もし献血する予定のある場合は、少なくとも最後の服用から1ヶ月は間を開ける必要がありますが、これはフィナステリドだから特別という訳ではなく、どのような薬でも服用している場合は1ヶ月以上の休薬期間を設けてから献血するように、献血の基準が設けられているためです。

 

 

この薬は、男性ホルモンに影響することで筋肉増強剤の使用を隠す効果があり、世界的にドーピング剤の一つとして認定されていたため、これまでにも様々なスポーツの大会でAGA治療のためこの薬を服用していた選手がドーピング違反で出場停止などの処分を受けていましたが、2009年にはドーピング剤との識別技術が確立され、この薬を服用していても実際のドーピング剤とは違う物質だと判別できるようになったため、2009年1月1日よりドーピングの禁止リストから削除され、晴れて誰もが心配なくいつでも使用できるようになりました。

 

 

この薬を服用したい場合はドラッグストアなどで購入することはできず、医師の処方が必要となるのですが、一般的な医療用医薬品とは異なり、健康保険でカバーされないため診療費や調剤料などは全て自己負担となります。このため料金は受診する医療機関によって異なっており、販売元の製薬会社では参考価格として1錠250円という金額を出していますが、これはあくまで薬剤そのものの料金であるため、診察料などそのた諸費用を考えると1ヶ月10,000円~13,000円程度かかる場合が多いようです。

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